Aランクパーティで不遇の時期を過ごし、ついには自らの意思で離脱した主人公・ユーク。
その後、元教え子たちとパーティ「クローバー」を結成し、新たなスタートを切ったユークを演じる峯田大夢。
ユークの魅力や「クローバー」というパーティ、そして和気藹々としたアフレコの現場まで、放送前から大いなる『エパリダ』愛を語る!
決断と挑戦が、ユークの、そして作品のテーマ
――『エパリダ』では主人公のユーク役に選ばれました。選ばれたときの率直な心境はいかがでしたか?
峯田 今回は、スタジオでのオーディションではなく、テープオーディションだけで決まったんです。メインキャストは全員そうだったと聞いて驚きました。なので、嬉しさよりも驚きが勝ったというのが本音ですね。とはいえ、やはり主人公、しかも異世界モノというジャンルも含めて、大役を任せていただけたのは光栄でした。
――異世界モノの作品には馴染みはありましたか?
峯田 中学生や高校生の頃によく触れていました。異世界を舞台とするファンタジーには昔から惹かれるところがあるので、自分がそんな作品に関われるのも大きな楽しみでしたね。
――作品の特徴としては、まずユークがAランクパーティ「サンダーパイク」を離脱するところからはじまります。
峯田 ユークという人間に触れて思ったのは、やはり自分の決断と行動でしか環境を変えることはできないということ。「決断」や「挑戦」というのはユーク自身のテーマであり、ひいては作品自体のテーマにもなっていると思います。
――ユークだけではなくて。
峯田 はい。例えば、ユークを迎え入れる決断をした「クローバー」もそうだし、新しいダンジョンに踏み入れていくのは、毎回挑戦ですよね。そうやって冒険の中で課題を乗り越え、自分の成長にしていく。それが作品の大切なところだと思います。
素直な教え子たちに出会い、成長していくユーク
――ユークの性格や状況をどのように分析しましたか?
峯田 彼は「不遇職」と呼ばれる赤魔道士じゃないですか。サポートや裏方に徹しているので、それゆえの苦労もある。とにかく下準備が多いし、地味(笑)。そこに輪をかけて、彼は性格が優しすぎるのが難点ですよね。もちろん、それは良いところでもあるのですが、度を超えた優しさは罪になるように思います。
――「サンダーパイク」では、ずっと不遇に耐えていました。
峯田 優しすぎて自分のことを大事にできていなかったんです。それでついに限界がきて、衝動的に離脱することになったという。
――そこから、元教え子たちであるマリナ、シルク、レインの3人によるパーティに加入することになります。
峯田 何よりも素直な彼女たちに出会い、ユークがだんだんと成長するのが醍醐味ですね。元々、彼は赤魔道士として実力があるし成長もしていますが、もう一段階、壁を突破する様子が描かれています。
――演じる上での難しさはありましたか?
峯田 ユークのような役をやるのは初めてで、そういう意味では挑戦でした。挫折もしましたし、苦労もしたのですが、いろんな人に支えてもらいながら前に進んでいます。とにかく僕は、ユークのように器用ではなくて、だいぶ泥臭い(笑)。小野(勝巳)監督からは第1話アフレコのときに、「みなさんすでにキャラクターを研究してくださっているので、それを出してもらえれば」と声をかけていただきました。一方で、演技の方向性に悩んだときは、小野監督も音響監督の阿部(秀平)さんも「一緒に作り上げていこう」というスタンスなのが嬉しいです。ディスカッションができる良い現場になっていますね。
――アフレコ現場の雰囲気はいかがですか?
峯田 すごく賑やかです。バリー役の世界さんはコーヒーの差し入れを毎回してくださって、キャストもスタッフも大歓喜です(笑)。スタジオに入ってコーヒーの香りがすると「世界さん、今日来ているんだな」とわかる。それ以外にもすごくケータリングが充実しているのがこの作品の特徴です(笑)。メインキャストの女性陣が美味しそうに食べているのを微笑ましく見ています。
キャストの幅広さにも注目してほしい
――「クローバー」のキャラクターたちの印象もお伺いしたいのですが、魔剣士のマリナにはどういう印象をお持ちですか?
峯田 素直でまっすぐな印象が強いキャラクターですね。マリナ役の伊南(羽桜)さんは普段は穏やかなのですが、マリナを演じるときは本当に元気いっぱいなので、役者としての凄さを感じました。初めてオーディションで受かった役だとおっしゃっていたのですが、その堂々たる芝居に驚きました。
――シルクに関してはいかがですか?
峯田 知性に溢れていて、見た目もお姉さんのような雰囲気があるキャラです。演じている川井田(夏海)さんはすごくお芝居が好きな方で、シルクについてもそうですし、作品を良くしたいと考えていつも行動しているのが素敵で、影響を受けています。
――レインに関してはいかがでしょう。
峯田 彼女はとにかく可愛いですね。冷静なのに大胆なところがあって、そのあたりのギャップは、演じられている稗田(寧々)さんとも似ているかもしれません。稗田さんだから、レインのあの独特の空気感が再現できているのではと思います。
――峯田さんからみて、注目のキャラクターはいますか?
峯田 やはり「サンダーパイク」のリーダーで、幼馴染のサイモンですね。原作では悪役のイメージが強いですが、(中島)ヨシキさんの声が入ったことで、ちょっと愛おしく見えるんです。嫌なヤツですけど(笑)、憎めない。あとは、世界さんが演じられるバリーや、乃木坂46の田村(真佑)さんが演じられるキャメラット君など、キャラクターと共に、キャストの幅広さにも注目してほしいです。
王道ファンタジーの楽しさを体感してほしい
――峯田さんから見て、TVアニメとしての『エパリダ』の面白さはどこにあると思いますか?
峯田 やはりアクションシーンではないでしょうか。僕はまだ完成前の映像しか見られていないのですが、魔法を唱えたときのエフェクトがすごい迫力で。完成版では、もっとブラッシュアップされているはずなので楽しみです。あとは、王道ファンタジーとしての楽しさですね。ダンジョンの攻略や強いモンスターとのバトルもそうですし、冒険者が配信をしているという新しい要素もある。
――配信でパーティの人気が出るのは面白い設定ですね。
峯田 そうなんですよ。それに、「クローバー」の日常もけっこう描かれていくので、そこは楽しみにしていてほしいですね。
――では最後に、これからの放送に向けてメッセージをお願いします!
峯田 以前のパーティで過小評価されていたユークが、新たなパーティ「クローバー」で、その才能を発揮していく内容です。登場するキャラクターも個性的で、その関係性を見ているだけでも面白いですが、ユーク自身の最終目標もきちんとあり、物語はそこに向けて進んでいきます。ファンタジーものなら外せないバトルシーンや魔法発動のシーンもしっかりとありますし、それを盛り上げる零さんや田中有紀さんの主題歌、それに音楽も豪華です。とても間口の広い作品だと思うので、少しでも興味がある方は、気軽に観ていただければと思います!
〈峯田大夢プロフィール〉
スターダストプロモーション所属の声優。代表作に、『セスタス -The Roman Fighter-』(セスタス)、『ブルーピリオド』(矢口八虎役)、『WIND BREAKER』(鹿沼稔役)など。