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SPECIAL

2025.05.16

エパリダ 連続キャストインタビュー vol.5:田中有紀

キャストインタビュー第5弾に登場いただいたのは、各部のエンディング主題歌を担当した声優・アーティストの田中有紀。
第1部の「Treasure Chest」、第2部の「MIRROR」という2曲にボーカリストとして込めた思いとは? 
そして、第2部から登場し、「クローバー」に大きな影響を与えた“黄金の巫女”ニーベルンのキャラクターについても話を聞いた。

 

「Treasure Chest」は、ユークを後押しできる応援歌になれば

――まずは原作の印象を聞かせてください。

田中    「クローバー」や「サンダーパイク」のみなさんをはじめ、キャラクターがとても個性的で生き生きしているなと感じました。私個人としてはずっとユーク推しで、彼が自分なりの正しさを貫いているところがこの作品の魅力のひとつかなと思います。


――エンディング主題歌を歌われるというお話と、ニーベルン役を担当するお話は当初からあったのでしょうか。

田中      はい、最初の段階から聞いていました。この物語が3部作で、各部のエンディング主題歌を担当させていただけると伺っていたので、まずはじまりの第1部では、ユークへの気持ちを大切に考えて楽曲を紐解いていきました。そこから第2部、第3部とそれぞれの違いを楽曲でも出していくことができればと思っていました。


――第1部では「Treasure Chest」が使われました。

田中    これまで不遇な目に遭ってきたユークが、「クローバー」で新たな一歩を踏み出せたことの喜びを感じさせつつ、彼と仲間たちの冒険を後押しできるものになれば良いな、という思いを込めて歌いました。


――歌い方で意識したところはありますか?

田中      そうですね。1番と2番でリズムを変えているところがあったり、フルで聴いてくださるリスナーのみなさんがより楽しめる、スパイス的な要素が入っています。そうした変化やバリエーションを一曲の中に落とし込んで、ダンジョンでの出会いや敵との対峙を表現できればと思っていました。


――歌う中での難しさはありましたか?

田中    音で言えば、この曲はけっこう音域が広いので、私としてはチャレンジでした。逆に言えば、そこがワクワクする重要な部分なんです。冒頭の「今から夜明けを/迎えにゆこう」というフレーズから、サビに向けてどんどんメロディが上昇していく展開が、物語にもぴったりで。一度、ワンマンライブで生歌唱したのですが、途中で失速しないで歌い切る意識で臨みました。


――実際にエンディング映像をご覧になったときの感想を聞かせてください。

田中    もうみんながめちゃくちゃ可愛くて、感動しました。ユークが大事な仲間たちと横並びでスタートする気持ちを歌っているので、「クローバー」のメンバーをじっくりと見せてもらえる映像だったのがすごく嬉しかったです。一番好きなのは、最後の“朝陽の中”のところで、「クローバー」が朝日に照らされるシーンですね。



――第1部は、「サンダーパイク」とユークの因縁の話となっています。

田中    終わり方はけっこうびっくりしました。敵対する相手との関係がどのように終結するのかは物語によって違うと思いますが、『エパリダ』は和解しないという選択で。ユークとサイモンのふたりがどんどん二極化していくのは見応えがありました。


――作品としては第2部に入って以降、より壮大になっていきます。ニーベルン役として収録にも参加していますが、アフレコ現場の雰囲気はいかがでしたか?

田中    笑いが絶えず、とても明るくて優しい現場でした。私は途中参加だったので最初はドキドキしていたのですが、みなさんめちゃくちゃ気さくですぐに話しかけてくださって。ちなみに、最初に現場へお邪魔したときに、川井田(夏海)さんの提案であだ名を決めることになり、「タナ」と呼んでもらっています(笑)。それもあって、スッと自然に、導かれるように入ることができた現場でした。


――ユーク役の峯田さんが座長として現場を盛り上げているそうですね。

田中    峯田さんは、私がリテイクを出してしまったときも改めて掛け合いをしてくださって、とてもありがたかったです。今は大人数での一斉収録が可能になったので、作品を全員で作っていける雰囲気は素晴らしいですし、その幸せを噛み締めています。

 

 

ルンちゃんのことを常に考える「クローバー」のあったかさ

――第2部から登場するニーベルンを演じていますが、彼女を演じる上でのコンセプトはありましたか?

田中    巫女として喋っているときは、ルンちゃんの身体を借りている意識でした。巫女としては厳かに、浮世離れしている異質な感じを出したいと音響監督の阿部(秀平)さんからも言われていて、そこは丁寧にディレクションしていただきました。ルンちゃんとしては可愛らしい女の子ですが、王家の血筋もあるので、礼儀正しいだろうし、同年代の子よりも大人びている可能性もある。等身大の可愛らしさと気品とのバランスは悩むところではありました。



――年相応の部分と気品の部分を、どう演じ分けるのか。

田中    どっちも失わないように考えた結果、シーンに応じて差を付けていくことにしました。真面目なシーンや危険なシーンもあれば、みんなとワイワイしているシーンもあるので、そこで芝居を分けようとしましたね。例えば、戦闘以外のところでは「クローバー」のみんながルンちゃんのことを異常にチヤホヤするので(笑)、年相応に。


――ちなみに「クローバー」の女性陣だとどのキャラクターに思い入れがありますか?

田中    悩みますね……! 推しキャラと考えると、ネネちゃん。あの猫な感じがすごく可愛くて。最初は遠慮していたけれど、徐々に自分がしてほしいことを主張していくのが良いなって思いました。「ネネタイム」はいつも楽しみにしていて、アフレコ中も(ネネ役の)指出毬亜さんと「ネネタイム、いつくるかな?」と言い合ったりして(笑)。第17話のデート回は本当に感動しました。



――第2部の魅力を、田中さんはどのように捉えていますか?

田中    ルンちゃんの立場から考えれば、彼女は謎が多いキャラクターじゃないですか。特にダンジョン内で拾われたので、仲間に悪影響を及ぼす可能性だってある。なのに、「クローバー」のみんなは受け入れてくれていて。


――そうですね。

田中    倒れていたところをちゃんと連れ帰ってくれたこともそうですし、そのあとも遊んでくれる。世界は危機的な状況なのに、ちゃんとルンちゃんのことを考えてくれていて。そんな「クローバー」のあたたかさは、壮大な物語の中でもポイントのひとつだと思います。

 


「MIRROR」はヒロインたちに寄り添った、女性の強さを歌った曲

――第2部のエンディング主題歌「MIRROR」には、どのような思いを込めましたか?

田中    第1部の「Treasure Chest」が冒険のはじまりとすると、「MIRROR」は「クローバー」のヒロインに寄り添った曲で、女性の強さが伝わるものですね。「Treasure Chest」ではユーク寄りの視点や世界観を意識していましたが、今回はマリナをはじめ女性陣を応援したい気持ちを前面に出しています。自分の思いも乗せながら、「私はこうありたい」「こういう生き方をしたい」と願う彼女たちのポリシーみたいなものが伝わればと思っていましたね。その中に、ちょっといじらしさも見えるものにできればと考えていました。



――第3部の楽曲も楽しみになりますね。

田中      そうですね。私も冒険っぽい路線の曲が続くのかと思っていたら「MIRROR」でガラッと変わりましたし、そのことで強くエンディングに惹き込まれる形になったなと思います。なので、歌い方もガラッと変えようと決心できましたね。


――第2部が終わりましたが、第3部のヒントをお願いいたします。

田中    第1部、第2部とユークや「クローバー」にも変化があり、舞台も変わったので、第3部ではさらに空気感も変わっていくと思います。その中で、ルンちゃんをはじめ、キャラクターそれぞれの思いを感じ取っていただければと思います。また、第3部のエンディング主題歌も楽しみにしていただけると嬉しいです!

――声優として、アーティストとして、この作品に参加したことで学んだことはありますか?

田中    アーティストとしてはやはり、3部それぞれで主題歌を歌えたことは大きいですね。曲調によって、声質や歌い方を変えてみることにもチャレンジできましたし、それは成長に繋がったと思います。声優としても、ルンちゃんのような幼い子を演じたのはほぼはじめてで。しかも、その中に巫女を宿しているという設定も含めて、非常に演じ甲斐のある役を、小野勝巳監督や他の演者さんに見守られながらのびのびと演じることができたかなと思います。

 

 

〈プロフィール〉
田中有紀(たなか・ゆき)

アーティスト、声優。スタイルキューブ所属。声優としての主な出演作に、『アイドルマスター シャイニーカラーズ 2nd season』(芹沢あさひ役)、『トリリオンゲーム』(高橋凜々役)など。アーティストとしては、2024年、ランティスよりソロデビュー。2025年1月に初のワンマンライブを開催した。