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SPECIAL

2025.06.28

エパリダ 連続キャストインタビュー vol.6:峯田大夢×伊南羽桜×川井田夏海×稗田寧々

【前編】

今年1月からスタートした『エパリダ』も、ついに最終話の放送を残すのみ。
公式サイトで連載してきた「エパリダ 連続キャストインタビュー」も最終回ということで、「クローバー」の結成メンバーである4名のキャストが再集結!
これまでの物語とアフレコについて振り返ってもらいました。

 

座長でしたが、みなさんに引き上げてもらったという感情が強い(峯田)

――2クールにわたり放送された『エパリダ』も、最終話の放送間近となりました。アフレコはすでに終了したそうですね。

峯田      終わってみればあっという間でした。アフレコも、期間にすれば半年以上は収録しているのですが。

川井田   半袖の時期にはじまって、長袖の時期で終わった感じですね。

伊南      終わったとき、すごく寂しくて……。

川井田   泣いてたもんね。

伊南      前日から泣いちゃっていました(笑)。もうこのメンバーでこの風景が見られないのかと思うと……。

川井田   早いよ(笑)!

稗田      初レギュラーだもんね(笑)。私も羽桜ちゃんを見ていて、自分が新人だった頃と重なりました。私も2クールものが初レギュラーで初メインキャストだったから。でも、羽桜ちゃんの成長が著しくて。

峯田      堂々たるものですよ。

川井田   マイクワーク(※アフレコ時のマイクの使用法のこと。収録では参加したキャスト複数人につき1本のマイクが振り分けられ、自分の出番になるとマイクの前に立ち、出番が終わると次に出番があるキャストに譲る。この繰り返しの動きのこと)だってほぼ初めてなのに、出番になるとすっと入っていって。

伊南   それもこれも、たくさん話しかけてくれたりいろいろと教えてくださった皆さんのおかげです。

稗田      ラジオも3人で一緒にやっているからね。

川井田   羽桜ちゃんは回しの天才ですから。

峯田    気になる方はエパラジ(『エパリダ 元教え子たちのラジオ ~最深情報、お届けします~』)をお聴きください(笑)。


――峯田さんは座長としてはいかがでしたか?

峯田      異世界ものの主人公は初めてだったので、プレッシャーも不安もありましたけど……第1部と第2部以降では気持ちが違いましたね。最初はすごく構えていて、座長として“やらなきゃ”という気持ちに勝手に押し潰されそうになっていて。でも、周りのキャストやスタッフのみなさんが支えてくださったことで持ち直して、第13話以降は駆け抜けることができたかなと思います。座長って、周りを引っ張っていかなきゃいけない立場だと思うのですが、この作品に関してはみなさんに引き上げてもらったという感情が強いですね。


――現場ではムードメイカーとして活躍したという川井田さんはいかがですか?

川井田   同じ年代の人たちとパーティを組んで、一緒に収録するのは初めての経験でしたし、何でも言い合える良さがありました。「ここはちょっと変だよね」とか、「アドリブでこうしよう」とか提案できたのは、柔軟に対応してくれたみんなのおかげです。そして『エパリダ』と言えば、やっぱりケータリングの素晴らしさ。


――どのキャストさんも絶賛されていますね。

川井田   あれはまさに魔法道具(アーティファクト)です(笑)。同じ釜の飯を食うという恒例行事があるからこそ、できたコミュニケーションがありました。


――稗田さんはいかがでしたか?

稗田      メインキャラクターが同世代で、サブのキャラクターを先輩方が担当してくださる構図だったので、すごく安心感がありましたね。アフレコ現場でも、ベンウッド役の小山(剛志)さんをはじめ先輩方が緊張している私たちをほぐしてくれましたし、そこからだんだん若手が中心となって現場を盛り上げていく形になりました。その中で、カワちゃん(川井田さん)にも相談できたり、羽桜ちゃんがわからないことを聞いてくれたりするような雰囲気が生まれました。それが「クローバー」のあの仲の良い雰囲気にも繋がったのかなと思います。


――改めて感じるキャラクターの成長はありますか?

峯田      ユークは“視点”が変わりましたね。「サンダーパイク」時代も周りがよく見えていたと思いますが、自分を大切にしてくれている人を見極めることが出来ていなかったように思います。それが「サンダーパイク」を離脱して、元教え子たちとパーティを組んだことで視野が広がって、いろんな人が助けてくれるようになった。それを実感したことで、周囲への接し方も変わっていったと思います。


――周囲への信頼を口にするようにもなりましたね。

峯田      そうですね、自分がすべてをやらなくても良いというか、頼れる仲間がそばにいることに気づいたのが「クローバー」で得た一番の宝だと思います。



いつのまにかユークは「先生」じゃなくなりました(伊南)

――女性陣から見ても、ユークの成長を感じるところはありましたか?

川井田   サイモンとの別れを機に、ユークは落ち込みや弱い部分をきちんと見せてくれるようになったと思います。

 

――先生と生徒の関係から脱したというか。

川井田   そうですね。ちゃんと傷ついている部分をさらけ出せるというのは、信頼があってこそだと思うので。それをひとりではなく「クローバー」のみんなで乗り越えていこうとしたのかなと。私からすると、「弱いところを見せてくれて、サンキューな!」っていう(笑)。

伊南      確かに、いつのまにかユークは「先生」じゃなくなりましたね。

稗田      そうだね。途中からは対等な立場というか、仲間として一緒に冒険するようになりました。ユークはもともと弱みを見せないタイプだから、“もっと頼ってほしい”と思っていた私たちの気持ちが、だんだんと伝わっていったのかな。

川井田   ネネやニーベルン、ジェミーという新しいメンバーが増えていく中で、私たちがパーティ内では先輩の立場になったというのも大きいかも。マリナとか最初の頃と比べたらすごく頼もしくなったもん。

伊南      うんうん。マリナはニーベルンのお姉ちゃんみたいになりました。

稗田      あと、ユークに対してレインが積極的だったことも、(弱みを見せる上では)大きかったかもしれない。

川井田   絶対あるよね~(笑)!

稗田      マリナやシルクの乙女心的にはフクザツかもしれないけれど、レインがグイグイとユークに迫ったことで、彼の心もほぐれていったと思います。

峯田      今までユークが封じていたものを、みんなが解いてくれました。

 

 

予期せぬ状況に巻き込まれていくキャラクターたちの気持ちがすごくリンクしていた(川井田)

――物語は第2部以降、より複雑に展開していきます。みなさんはどのように読み解いていったのでしょうか?

峯田    確かに、設定が複雑で、この世界ならではの用語もたくさん出てきます。ユークはそれを説明する役割もあるので、理解して話す必要がありました。なので、一旦単純なワードに置き換えるなどして用語や状況を整理していましたね。アフレコ現場でも、阿部(秀平)音響監督や小野(勝巳)監督と言い回しの細かなニュアンスは話し合いましたし、世界観や舞台に関しても、阿部音響監督からレクチャーがあり、それを参考にしています。僕が「こんな感じかな」と仮定していたことをスタッフのみなさんが言葉にして伝えてくれるので、納得度が高かったですし、そこはスムーズでしたね。

稗田    第2部以降だと、ベディボア役の西(凜太朗)さんのセリフ量が膨大で。でも、耳で聞くと意味が理解できるというか、地に足ついた説明になっていて、「本当にあの世界に住んでいらっしゃるのかな?」と思うほどで。

峯田      説得力がありましたね。

川井田   「クローバー」のメンバーはそれを受け取って芝居をする側だったので、先輩たちの言葉から状況を把握していくことができたのはありがたかったですね。それに、予期せぬ状況に巻き込まれていくキャラクターたちの気持ちと私たちがすごくリンクしていて、演技にも反映されたかなと思います。

 


【後編】

TVアニメ『エパリダ』の完結を記念したメインキャスト座談会の後編。
サイモンとの長く続いた因縁や、叔父サーガの登場など、第2部~第3部の展開を中心に、最終話を迎えるキャストとキャラクターの心情を話していただきました。

 

サイモンの「あり得た可能性」に触れたことでトラウマを乗り越えられた(峯田)

――『エパリダ』の中で、一番印象に残っているシーンをお聞かせください。

峯田      僕はやっぱりサイモンとの因縁ですね。幼馴染に対して一生死ねない呪いをかけるという決断を選択したことで、それが第2部のグラッド・シィ=イムの話に繋がる。その展開をアニメで見るとさらに驚きが増して、印象に残りましたね。


――第22話にも、「あったかもしれない可能性」の中にサイモンが登場しますね。

峯田    あれは罪な演出でした。ユークはまだサイモンのことを引きずっていて、ずっとトラウマのように心に引っかかっていたんでしょうね。あのエピソードの中でサイモンの「あり得た可能性」に触れたことで、ひとつ乗り越えられたように思います。



――さらに、叔父さんのサーガが戻ってきましたね。

峯田      一体、今まで何をしていたのかなと思いながら(笑)。いろんな仕事を仲間たちに託して「やあやあ」みたいな感じで帰ってきましたね。ユークとしては憧れの存在でありながら血縁関係もあるので、これまでにない近い距離で接している印象はありました。いろんな出会いと別れが「クローバー」結成以降もある中で、それでも前に進めているのは、サーガとの再会によるところが大きいでしょうね。



――伊南さんにとって印象的だったシーンはありますか?

伊南      全体を通してマリナに大きな変化を感じたのは、戦闘に対する気持ちだと思います。最初はがむしゃらに先陣を切って「わたしが行く!」、「やっつける!」という気持ちだけだったと思います。例えば演じるときも、阿部音響監督に「マリナはもっと脊髄反射で喋って良いよ」と言われていました。それが第2部以降になると、誰かのためにこうするべき、という目的が生まれているように感じましたし、そこにひとりの人間としての成長が垣間見えましたね。逞しくなったなと思います。

稗田      「任せて!」ってよく言うようになったしね。

峯田      確かに!

川井田   そうそう。「任せて!」って言葉にすることが多い。


――その4文字に彼女の変化や成長が詰まっているかもしれません。

伊南    そうなんです。一方で、あまり考えすぎるタイプではないマリナの性格は、普段深く考え込みがちな私を演技面で助けてくれることもありました。



――川井田さんは、シルクの印象的だったシーンはありましたか?

川井田   アニメで描かれた中で印象的だったのは、彼女が高所恐怖症であること。いつも冷静沈着で、マリナ達をたしなめるタイプなのに、魔導飛空帆船のシーンだけ全否定じゃないですか。「こんなものが飛ぶわけがありません!」って(笑)。年相応な部分が垣間見えたあのシーンは演じていて楽しかったですし、ああいう部分も素直に見せられるようになったんだなと。


――他のメンバーに心を開いて。

川井田   いつもしっかりしているじゃないですか。サブリーダーとしてユークと会議にも出るし、お茶の配膳もやるし(笑)。そんな彼女にも怖いものがあって、ユークに「無理」と言ってしがみつけるまで気を許すことができるようになったのは、彼女にとって良かったと思います。


稗田
      ぜひシルクにはレインにもしがみついてほしい(笑)。
レインも、シルクほどではないにせよ冷静じゃないですか。そんな中で珍しく心がガッと出た部分だと、意図せぬ婚約を告げられて実家に一度戻らなきゃ、という状況になったときですね。ユークたちに自分のルーツを説明するシーンでぽろぽろ泣いちゃって……。本音をさらけ出したあのシーンを境に、「クローバー」がレインにとって本当の自分の居場所になったと思います。そこから一層、「クローバー」に対して愛情や表情の柔らかさみたいなものを感じ取ることができました。


――ご自身の演技も変わった部分はあるのでしょうか?

稗田      阿部音響監督といろいろ話をして、普段は冷静ではありますが、あのシーンはしっかり感情を出していこう、と。それくらいレインにとって「クローバー」は失いたくない場所であり、大切な仲間たちであることを表現しようとより気持ちが入りましたね。最終話の収録でも、テストの段階で泣きすぎたくらい感情が入ったところがありまして……そこもぜひ、注目してほしいです。

 

声に迫力を出すため、金庫を振り回していました(笑)(伊南)

――バトルシーンの演技で大変だったところはありますか? 

峯田      ユークは無詠唱(クイックキャスト)を習得しているので、魔法名のカタカナをちょっとと、詠唱は『歪光彩の矢(プリズミック・ミサイル)』のときのみで済みました(笑)。だから、毎回詠唱が必要なレインやジェミーは大変だったのかなと。

稗田      うん。普段は声を張らないキャラなので、詠唱のときはグッと気合を入れて。その詠唱も魔法の種類や戦況によって声に出すときと出さないときがあって。言い慣れていない言葉はどうしてもやり直しをさせていただくこともありました。

伊南      マリナは魔法の詠唱ではないですが、敵に斬りかかるときに「はあっ!」のような気合いを込めたセリフが多くあり苦労しました。ですが、終盤の収録でミキサーさんやスタッフさんとお話したときに、「これまでは少しワンパターンなところがあったけれど、この間はすごく良かった」と言ってくださったんです。課題だなと思っていた部分だったので、そう評価していただけたのは嬉しかったですね。

川井田   リテイクもなく、一発でOKが出るくらいにね。

峯田      マリナは戦闘シーンの迫力もすごいですからね。


――声に迫力が出るように、何か鍛錬や訓練はしていたのでしょうか? 

伊南      うーん……最初の方の収録では阿部音響監督などから「声に重みを感じない」「重いものを斬っているように聞こえない」と指摘をいただくことが多かったので、重みや迫力が出せるように家にある金庫を振り回したりしていましたね(笑)。

峯田      えぇ!? そのトレーニングの効果が。

伊南      気を抜くとぶん投げてしまうから、危ない。

稗田      (笑)。金庫って強盗に持ち出されないくらい大きいし、重いんじゃない?

伊南      そこまで大型じゃなくて、ちょっとした貴重品を入れておくようなものです(笑)。

 

 

もう収録がないのがとにかく寂しい(稗田)

――では、最終話を心待ちにされている皆様に、メッセージをお願いします。

稗田      最終話は、もうテストの段階からすごく気持ちが乗っていて。

川井田   みんなのそういう気持ちが相乗効果を生んでいました。

峯田      物語としてもあらゆる伏線が回収されていくので、これまで疑問だったところも「そういうことだったのか」とわかるようになるかと思います。

伊南      伏線で言えば、第1部からきちんと繋がっているものも多いです。

川井田   あ、忘れてほしくないのが、浮遊型自動撮影魔法道具(アーティファクト)のセルフィーちゃんです。もう皆さん分かっているかと思いますが、声を担当しているのは私です! 演技も完全に任せていただいて、キャメラット君が「キャメキャメ」と鳴くのでセルフィーちゃんは「セルセル」にしています。私としては、どんな内容か決めて「セルセル」と言っているので、そこに注目していただけると嬉しいです。


稗田
      第1部からずっと見守ってくださっている方からすれば、最後まで追っていて良かったなと思える内容になっています。キャラクターに対する思い入れも、最終話を見ていただければグッと増すはずです。

川井田   いろんな出会いと別れを経てきた主人公パーティだからこそ、迎えられる最終話です。とても希望があるものだと思っていますし、視聴者のみなさんにもその気持ちが伝わっていれば嬉しいです。制作のみなさんもきっと、ここで終わらせる気は――(笑)。構えずに楽しんでいただければと思います。

伊南      「クローバー」のみんなの心情は、描かれているところも、あえて描かれていないところもあると思います。なので、最終決戦に向かうユークたちがどういう気持ちで臨んでいるのか想像しながら、物語の世界に入り込みながら見ていただけると嬉しいです。

峯田      まず、ここまで見ていただいてありがとうございました、という気持ちでいっぱいです。原作はまだまだ続いていますし、キャストの僕らとしても明るい未来を見据えながら演じることができました。そして、作画のスタッフのみなさん、音楽や演出、宣伝のみなさんがこの作品を視聴者に届けてくださったことにも改めて感謝したいです。みなさん、また第1話から彼らの歩みを、慎重に楽しんでもらえれば嬉しいです!

稗田      ……もう収録がないのがとにかく寂しいね。

伊南      うん。

川井田   そうだね。本当に楽しい現場でした!




〈プロフィール〉
峯田大夢(みねた・ひろむ)
i.nari所属。『エパリダ』で見てみたいエピソードは、「キャメラット君視点の物語、もしくはセルフィーちゃんの物語。配信の裏側について知りたいです」とのこと。

伊南羽桜(いなみ・はな)
ケンユウオフィス所属。『エパリダ』で見てみたいエピソードは「お姉さん化したマリナの面倒見が良いところがわかるエピソード。ニーベルンを寝かしつけるところとか」とのこと。

川井田夏海(かわいだ・なつみ)
インテンション所属。『エパリダ』で見てみたいエピソードは「アーシーズのときのような、指名依頼を次々とこなしていく“案件編”ですね」とのこと。

稗田寧々(ひえだ・ねね)
81プロデュース所属。『エパリダ』で見てみたいエピソードは、「ユークと他のメンバーとの恋愛模様ですね。描かれていないところも、これからどうなるのかも!」とのこと。